【議事録】償却資産課税の見直しは慎重に(2015年3月10日・予算委員会第2分会)

予算委員会第二分科会 平成27年03月10日

○中川(康)分科員 公明党の中川康洋でございます。
 私は、この国会で初質問でございますので、大変に緊張をしておりますが、大臣初め答弁をいただく皆様、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 私は、昨年の十一月まで、実は、地元の四日市の市議会議員、さらには三重県の県議会議員を十二年務めさせていただきました。ゆえに、今回、総務省の関連ということで、特に地方の問題、課題について質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 既に、前の委員の方々の御質問と重複する部分がございましたら、そこはお許しをいただきながら、今回、端的に五つほど質問をさせていただきたいというふうに思っておりますので、ぜひとも、歯切れのよい御答弁を賜りますようお願いを申し上げたいというふうに思っております。
 最初に、地方創生に関連をいたしまして、まち・ひと・しごと創生事業費についてお伺いをさせていただきたいと思っております。
 平成二十七年度の地方財政計画には、地域の実情に応じたきめ細かな施策を可能とする観点から、このまち・ひと・しごと創生事業費約一兆円が計上をされております。この一兆円、今回、総務省の方においても大変な御努力をいただいて確保をしていただいたものだというふうに認識をしております。
 また今回、地方財政計画の歳出にこの事業費を計上していただき、一般財源総額としても相当な規模を確保していただいたために、来年度の地方財政、いつも厳しい厳しいというお話をいただくんですけれども、幾分かは楽になったのではないかなというふうに私も評価をしておるところでございまして、高市大臣、大変にありがとうございました。
 現在、安倍政権が強力に推進をしております地方創生については、今申し上げたまち・ひと・しごと創生事業費とは別に、既に成立をいたしました補正予算にある交付金が内閣府予算として計上されておりますが、この地方創生事業については、間違っても単年度で終わらせる性格のものではなくて、これから息長く続けていくところに意味があるために、特に、今回二十七年度の予算に入っておりますまち・ひと・しごと創生事業費については、これが今後どのように継続さらには展開されていくのかが、各地方自治体の責任者さらには関係者にとっては大変に気になるところでございます。
 そこで初めに、総務大臣にお伺いをしたいと思います。
 このまち・ひと・しごと創生事業費については、地方における事業の継続性、さらには予見可能性の意味からも、今後も継続的に続けていくところに重要また大切さがあると考えておりますが、この事業費の、二十八年度以降今後の予算の見込み、さらには事業の継続性についてどのように考えられているのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

○高市国務大臣 二十七年度の一兆円につきましては、財源は、既存の歳出の振りかえ〇・五兆円及び地方の努力による新規の財源確保〇・五兆円によって確保しております。
 新規の財源確保分の中には、臨時の財源であります地方公共団体金融機構の準備金の活用三千億円が含まれておりますけれども、地方創生というのは、実際に取り組みを始めてから成果が出てくるまでに非常に息の長い取り組みが必要でございます。
 必ず、一定の期間がかかるものでございますので、二十八年度以降の取り組みも、地方法人課税の偏在是正をさらに進めることなどによって恒久財源を確保して、まち・ひと・しごと創生事業費の安定的な確保に努めてまいりたいと考えております。

○中川(康)分科員 ありがとうございました。
 私も地方が長かったわけですけれども、政策的な事業も含めて、いかに財源を確保していくのか、これが常に地方にとっては大変な問題でありました。
 そういった中で、今回、地方創生というところで光を当てていただきまして、そして、恒久的な財源をというお話を今いただいたわけですけれども、それが継続的に続いていく、そうすると、やはり政策的に息の長い事業が、または政策が地方において打てるのではないかなというふうに思っております。
 総務省として、本当に地方の立場にお立ちいただいて、今後も、恒久的な財源、さまざま工夫をしていく必要はあるというふうに思いますけれども、そこのところをぜひともよろしくお願いをし、今の政権だけが地方創生というのではなくて、やはり国の施策として長く続いていくような形でお取り組みをいただきたいというふうに思っておりますので、今後も、政権全体として、地方創生のお取り組みに力点を入れていただきますようにお願いを申し上げさせていただきたいというふうに思っております。
 続きまして、税の問題について少しお伺いをさせていただきたいというふうに思います。具体的には、固定資産税の償却資産課税についてお伺いをいたします。
 この固定資産税の償却資産課税につきましては、平成二十六年度の税制改正要望におきまして、日本再興戦略に基づく設備投資促進施策の一環として、償却資産のうちの機械及び装置に関しまして、新規の設備投資分を非課税とする、さらには長期保有分の評価額の最低限度額、具体的には五%分を段階的に廃止するというところの、いわゆる償却資産課税の抜本的見直しという要望が出されたところでございます。
 しかし、与党の方の税制改正大綱におきましては、二十六年度、さらには二十七年度の大綱において、この問題については、引き続き検討するというふうにされているところでございます。引き続き検討ということですので、いわゆる結論が出されたわけではございません。
 この地方税収の主要な税目であります固定資産税ですけれども、特に、その中の償却資産課税につきましては、地方の自治体における行政運営や施策展開のための重要な財源となっておりまして、仮に、この要望どおりの税制措置がとられた場合、地方財政に対する影響というのは甚大でありまして、それこそ、地方創生でお金が来たとしても、やはり基幹税がなくなってしまうと安定的な財政運営が行えなくなる、こんなような状況があります。
 ちなみに、私の地元は三重県の四日市市でありますけれども、この四日市市の場合、数字を見ますと、平成二十六年度の予算で、固定資産税における償却資産課税の総額、これは百十四億円でございます。そして、そのうちの機械及び装置の分というのは八十一億円ございまして、率にすると、固定資産税償却資産の中で機械及び装置が実に七一%に上る、こういう非常に大きなウエートを占めております。
 そして仮に、この要望どおりの制度見直しが行われた場合、新規の設備投資の非課税分で三十二億減る、さらには最低限度分の五%、これが廃止となりますと二億ということで、私どもの地元四日市では合計三十四億円の減収というふうになりまして、物づくり産業の立地する本市四日市にとっては、実に四二%もの税収が入らなくなる、こういった状況がございます。
 そこで、お伺いをいたします。
 この固定資産税の償却資産課税については、地方の自主財源の確保、さらには地方の自主性、自立性という観点から、制度の根幹を揺るがすような見直し、これについては私は慎重であるべきであり、さらには行うべきではないというふうに考えますが、改めての総務省の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

○高市国務大臣 今、四日市市の例を挙げてくださいましたが、固定資産税、全体で見ますと約八・六兆円の税収規模です。これは市町村税収全体の四割超に当たります。うち、償却資産分が約一・五兆円ということですから、地域に密着した産業振興施策ですとか公共事業など、地域経済の活性化を担っている市町村にとりましては、安定した重要な基幹税源となっております。
 このため、償却資産課税の見直しの議論に対しましては、全国知事会、全国市長会、全国町村会を初め多くの地方団体から現行制度堅持の意見をいただいております。
 そんなこともありまして、二十七年度の与党税制改正大綱、自民党、公明党で随分議論をしていただいたと思うんですが、この中では、これらを踏まえて、引き続き検討するという表現になったと承知しております。
 今後も引き続き、地方団体の意見を十分に踏まえながら、また与党大綱の中でさまざまな観点、論点が示されましたので、これらも考えながら、総合的な議論を行うことが必要だと思っております。

○中川(康)分科員 大臣から非常に力強い御答弁をいただいたかというふうに思っております。
 これは税の問題でございますので、最終的には、今、大臣も御答弁いただいたとおり、与党の税制改正大綱、十二月の議論の中で決定をしていくということでございますが、やはり総務省の側として、さまざまな資料でありますとか意見を強く述べていっていただきたい。
 やはり、それを述べていただくことによって、さまざま、改正の中では、経済政策また経済の活性化というところで、この部分を減額したり廃止するというような議論があるわけですけれども、地方にとってみますと重要な基幹税でありまして、そして、いかに企業を呼び込むかとか、企業の活性化を図るというのは、基幹税をいただく中で、その町が独自の対策というか施策を打っていけば私はいいんだというふうに思います。
 税そのものの中で、例えば非課税にする、廃止するということで経済が活性化したりとか企業が推進しやすくなるというのではなくて、やはり基幹税の中で、それぞれの自治体がさまざま競争をする中で独自の施策を打って企業を呼び込む、そして企業において経済活動を頑張っていただく、そういう方向性を常に持っていっていただければというふうに思います。
 これは与党税制改正大綱の中で決まっていく話ではありますが、総務省のお立場として今後もさまざまな御意見を述べていただきますよう、大臣から非常に力強いお言葉をいただいたなというふうに思っておりますし、私は比例区の東海ブロックで三重県、大臣は奈良県ということで、あそこの経済をこれからどう活性化していくかというところは、滋賀県を含めてすごく大事だというふうに思っておりますので、またぜひともよろしくお願いをしたいなというふうに思っております。
 三点目の御質問に入らせていただきます。マイナンバー制度についてお伺いをいたします。
 マイナンバー制度につきましては、きょう報道等で、閣議決定がされたというようなお話もあったところでありますが、やはりこの中身について、まだまだ国民の皆様に周知がおくれているのではないか。しかし、制度のスタートは目の前に来ているというところで、少し危惧するところ、また確認をしておきたいところ等、御質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 少しおさらいになりますが、この制度は、日本に住民票がある全員に十二桁の番号を割り振りまして、いわゆる社会保障や税など行政にかかわる個人情報を一つの番号でつなぐ制度でございまして、来年の一月にはマイナンバーの利用開始が、さらには一七年七月には制度の本格稼働が予定をされておるところでございます。
 しかし、このマイナンバー制度につきましては、現在、総務省とNECが開発中の中間サーバーの設計が、入力する年金関連の情報などが想定よりも非常に多かったということで、追加改修が必要になったために予定よりもおくれているとの一部報道がなされたところであります。
 現場では、この中間サーバーの仕様書がおくれると自治体のシステム改修もおくれる状況になっていくのではないか、このような心配をする声が上がってきておりますが、この中間サーバーの設計、さらには仕様書が各自治体にどう出されていくか、このあたり、まず大丈夫かどうか、この辺のところの総務省の御見解をお伺いしたいと思います。

○佐々木政府参考人 お答えいたします。
 マイナンバー制度のシステム開発に関しましては、中間サーバーの開発も織り込みました全体的スケジュールに沿いまして準備を進めておりまして、平成二十九年七月の情報連携の本格的な開始に影響はないものと考えているところでございます。
 総務省におきましては、この中間サーバーと接続する地方公共団体の既存システムの改修に必要なインターフェース仕様書、主要な二十四の特定個人情報を対象としたものを先月、二月二十七日に地方にお示ししたところでございます。さらに、三月末には、全特定個人情報を対象といたしました仕様書をお示しする予定でございます。これらに基づきまして、着実にシステム改修を進めていただくこととしているところでございます。
 私どもといたしましては、平成二十九年七月の情報連携の本格開始に向け、地方公共団体におけるシステム整備が着実に進みますよう、その進捗状況の把握に努めますとともに、必要に応じて支援を行ってまいりたいと考えております。

○中川(康)分科員 ありがとうございました。
 今、少し心配されるところを確認的にお伺いさせていただいて、着実に進めていっております、さらには地方における整備状況も把握をしながらという御答弁をいただいたところでございます。
 各地方によっても、差が出ているところとか、さまざまな状況はあるかというふうに思いますので、限られた人材だと思いますけれども、現場現場にお入りいただく中でそれぞれの状況を把握していただいて、遅滞のないスタートというんでしょうか、そういったところをお進めいただければというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
 もう一点、お伺いをいたします。
 マイナンバー制度につきましては、各自治体のシステム改修をこれからお願いしていく、さらにはそれが進んでおるわけでございますけれども、都市部ならともかく、例えば私、地元は三重県ですけれども、三重県などで対応できる業者というのは数社しかないというような状況がありまして、その結果、改修費用が高どまりしているといった現状もあって、これは聞いた話の範囲ですが、自治体によっては持ち出しが発生しているというようなところも聞いているところでございます。
 私は、今回のマイナンバー制度、基本的には、この制度は国家的な社会基盤整備でございますので、今回の必要経費につきましては原則やはり国が負担をしていく、こういった方向性が大事じゃないかなというふうに思っておるわけでございます。
 この制度導入に伴う地方への予算措置、これは幾分増してきていただいているというふうに聞いておりますが、この予算措置につきましては、地方の声を反映した形で措置が十分にとられてきているのかどうか、さらには、その方向性で今後も大丈夫かどうか、ここの部分、やはり地方の立場としては、この段階であえてお伺いをしておきたいというふうに思います。

○佐々木政府参考人 マイナンバー制度の導入に必要となります地方公共団体のシステム整備に対します支援といたしまして、平成二十六年度当初予算におきまして、国庫補助金を約三百十一億円計上したところでございます。
 この補助金に対しまして、先ほど委員の方から御指摘ございましたように、地方公共団体から増額の要望がございましたところでございます。総務省といたしましては、要望額の内容等について精査を行いまして、システムエンジニアの人件費等の経費の増嵩でありますとかシステムの機能追加、こういった状況の変化を反映しまして、必要な額の確保のため補助金の増額を行ったところでございます。
 具体的には、今般、平成二十六年度補正予算において約四百九億円を計上し、加えて、平成二十七年度当初予算案におきまして約百二十一億円を計上しております。
 これは、当初予定をしておりました補助金の額から約二百四十億円の増額となっているところでございまして、地方公共団体におけるシステム整備に必要となる額を計上させていただいたものと考えております。これによりまして、各地方公共団体において着実に準備を進めていただきたいと考えております。

○中川(康)分科員 ありがとうございました。
 具体的な額もお示しをいただきながら、地方の声に応える形で、補正対応等も含めて予算措置をしてきたというような御答弁をいただいたかというふうに思っております。
 先ほども申し上げたとおり、これは国家的な社会基盤制度でして、各地方においては、さまざまな状況はありますけれども、やはり着実に進め、遅滞なくスタートをするということが大事だと思います。
 ほぼ、制度開始に近づいてきておりますので、ここから新たなる予算措置が必要かどうかというところはありますけれども、特に業者なんかでも、町場はたくさん業者がおりまして、いわゆる競争原理が働くわけですけれども、地方におきますと、対応できる業者そのものが少なくて、その結果、いわゆる高どまりしている、こんな状況もあったりするわけでございます。
 最初にも申し上げたとおり、やはり現場の状況を把握していただきながら、今後も、いわゆる間違いのないようなスタートをしていくことが大事だと思いますので、ぜひともまたよろしくお願いをいたします。
 もう一点、確認をいたしますと、このマイナンバー制度、明年一月には利用開始が始まるということですが、きょうの閣議決定における報道等でも最後に書かれておったんですが、やはり国民の皆さんの理解とか意識が決して高い状況にないということで、きょうの報道なんかを見ていますと、まだ七割の方がこのマイナンバー制度を知らない、こんな状況もあります。
 もうスタートの時期は切られておりまして、これをいかにこれから周知、PRをしていくか、さらには、国民の皆様にこの番号を有機的に活用いただくには、やはり中身も含めて御理解いただくというところが大事だと思いますが、この周知、PRについての総務省のお考えを改めて確認したいと思います。よろしくお願いいたします。

○佐々木政府参考人 今、委員御指摘いただきましたように、マイナンバー制度につきましては、国民の皆様の御理解をいただくことが大変重要だと思っております。
 したがいまして、昨年からも、内閣官房等とも協力をいたしまして、さまざまな形で周知を図ってきておりますけれども、さらに国民への広報を強めていくということで、三月、今月には、テレビでありますとか新聞も含めましてさまざまな形で広報を展開してまいりたいというふうに考えております。
 今後とも、各関係省庁、それと地方公共団体と協力しまして、国民への周知の徹底に努めてまいりたいというふうに考えております。

○中川(康)分科員 ありがとうございました。
 テレビ等も含めてPRに努めていきたいというお話がありまして、これは大分前の話になりますけれども、地デジを推進したときに、地デジカというようなキャラクターをつくってぐっとやったりとか、あと、いわゆる一般的に有名な方を御活用いただいてPRに努めたというようなこともあります。
 限られた予算ではあると思いますし、地デジの政策とマイナンバーの政策、ちょっと性格が異なるかもしれませんが、やはり国民の皆さんに理解をいただかないと、幾ら制度を構築してお金をかけても意味がないということもあるかと思いますので、その点も含めて、さまざまな御努力、よろしくお願いをしたいなというふうに思います。
 四点目に入らせていただきます。
 少し視点を変えまして、情報通信関連の問題といたしまして、海上及び船上におけるデジタルデバイドの解消についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
 私、国土交通委員会にも所属をしておりまして、やはり、この海上ないしは船におけるデジタルデバイドの問題、意識をしております。
 そして、この質問につきましては、これまでも我が公明党の伊藤渉議員が、昨年の予算委員会のまさしくこの第二分科会、さらには国土交通委員会などで何度か質問をさせていただいておりますが、海上における安全、安心の確保や、いわゆる船で働く方々の生活環境の向上というのは、今後の船員の後継者の確保や育成に不可欠な問題でございます。そのためにも、海上や船上におけるデジタルデバイドの解消というのは、私は、今や大変重要な課題の一つであるというふうに認識をいたしております。
 総務省におきましては、今年度及び来年度に向けて、このデジタルデバイドの解消策として、例えば海上通信システムの利用実態の調査や普及啓発、さらには、船上における通信速度の高速化の一環として、次世代移動衛星通信システムの技術実証及び制度整備などを行っておりますけれども、私は、これらの調査や整備推進につきましてはまだまだ緒についたばかりであり、今後さらに、この課題の解消については加速度的に整備を進めていただく必要があるのではないかなというふうに考えております。
 そこで、改めてお伺いをいたしますけれども、海上及び船上におけるデジタルデバイドの解消につきましては、担当省庁といたしましてどのような御認識を持っておられるのか、さらには、今後の取り組みの方向性についてお答えを願いたいと思います。よろしくお願いいたします。

○吉良政府参考人 お答え申し上げます。
 近年、船上で長期間活動する船員と家族とのコミュニケーションの確保だとか、あるいは緊急時の通信の確保というようなことで、海上においても陸上と同等のICT利用環境の実現を求めるニーズが高まっているというようなことから、海上におけるデジタルデバイドの解消は重要な課題というふうに認識しております。
 海上におけるデジタルデバイドを解消するためには、広域なサービスエリアを確保できて、しかも災害に強いという特性を有します衛星通信システムについて、民間事業者のサービスを活用することが重要というふうに認識しております。
 これまで、総務省としましては、例えば、世界的なサービスエリアで小型端末による通信を可能としますイリジウムシステムの導入だとか、インマルサットシステムの通信速度の高速化や端末の小型化、それから、船舶において高速ブロードバンドサービスを利用可能とするための新たな周波数の利用について、他の無線設備との共用を可能にするための技術実証や技術基準の策定、これは制度整備でございますが、行ってきております。
 二十七年度以降から三カ年計画で、より高い周波数帯でありますKaバンドを活用しまして、海上において現行の十倍以上の通信速度を実現するというようなことで、周波数有効利用に資する技術実証や無線設備の技術基準の策定等の制度整備を実施することにしております。
 総務省といたしましては、国土交通省等の関係府省と連携し、今後も技術の進展に対応した新たな無線システムの導入、それから既存システムの高度化のための制度整備などの取り組みを進めることによりまして、海上におけるデジタルデバイドの解消に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○中川(康)分科員 ありがとうございました。
 今、方向性としては、予算の措置も含めて非常に前向きな方向性をいただいたのかなというふうに思っております。通信事業は総務省の所管ということで、海事事業については国土交通省ということで、より連携を図っていただきながらこの問題を進めていただきたい。
 なぜかといいますと、今、船員の後継者をどう確保、育成していくかということが非常に大事な問題で、ただでさえ、アジア、諸外国にこの海事政策というのは押されているところがあるわけですね。
 そこで、やはり船員をどう確保していくか。若い方を確保していくという意味においては、通信事業がしっかりしているかどうかということもすごく大事でして、かつ、今お話がありましたけれども、家族とのやりとりということも大事ですし、さらに、やはり緊急時、外湾なんかへ出たらもう何カ月もというところもあるわけですね。その辺の連絡、連携、こういった問題。
 さらには、日本は離島が非常に多いですので、島の緊急事態にどう対応していくかというところにおいては、船のデジタルデバイドの解消、こういった問題もすごく大事でありまして、ここは、限られた予算ではあるけれども、いろいろな要素を考えると、やはり非常に大事な問題であるというふうに思っております。
 二十七年度からの三カ年ということでありましたが、実際に船の上でお仕事をされている皆さんのお声等もぜひとも聞いていただきながら、やはりこの部分の問題のしっかりとした解消に努めていっていただきたい。
 そして、それが結果的に、日本の海事行政、海事政策が前に進んできた、さらには船員さんも有能な船員がふえてきた、こういった方向につながるようにお願いをしたいというふうに思っておりますので、ここの部分もまた引き続き御努力を願いたいというふうに思っております。
 最後、消防行政の問題についてお伺いをしたいと思います。具体的には、国から貸与されております消防特殊車両の今後の車両更新に向けての財政措置、この部分の御見解をお伺いします。
 現在、私の地元、四日市ということで、四日市の話ばかりするのは恐縮なんですが、地元の四日市市の消防本部を初め各都道府県の主たる消防本部には、大規模災害に対応する緊急消防援助隊の充実強化のために、例えば大型後方支援車でありますとか燃料補給車、さらには人員の搬送車など、いわゆる消防特殊車両というのが国の無償使用制度を活用して配備をされております。
 この維持管理経費につきましては、これは国の交付税で措置をされているわけでございますが、将来、車両が老朽化した場合の更新につきましては、この財政措置については、現状においてはまだ明確にその内容を示されていない状況でございます。
 確かに、これら消防特殊車両につきましては、その配備が平成二十年から二十四年度というところで行われたために、まだ耐用年数、そんなに過ぎているわけではないんですが、無償貸与を受けている各消防本部や自治体の立場からすると、この車両の必要性、これは今後も当然認められますし、しかし、それぞれの車両の費用は決して安くはないということで、今から、これら消防特殊車両の車両更新に向けての国の考え方及び財政措置の考え方を示してほしい、こういった声があるわけでございます。
 そこで、消防庁にお伺いをいたします。
 これら消防特殊車両の将来における車両更新について、十年とか十五年先になるかもしれませんが、私は、基本的に、今後も国がその財政措置を行うことがやはり望ましいのではないかというふうに思いますが、この車両更新に向けた消防庁としてのお考えを、現在においてあればお教え願いたいと思います。よろしくお願いいたします。

○高尾政府参考人 大規模地震やコンビナート火災あるいはNBC災害など、高度かつ特殊な災害に対応する車両につきましては、委員御指摘のとおり、国の責任において調達をするということで、緊急消防援助隊に無償使用という形で全国配備を進めております。平成十七年度から始まっておりまして、今年度末、二十六年度末で全国で四百十七台という見込みでございます。
 これらの車両の耐用年数は、車種によっても違ってまいりますけれども、おおむね十五年から二十年程度と見込んでおりまして、近い将来、更新時期が到達するという認識でおります。
 このため、想定される災害に即した車両の必要性でありますとか有効性、また各車両の耐用年数等も考慮しながら、更新車両、新規車両、それぞれバランスをとりながら、無償使用車両の計画的な整備を行ってまいりたいと思います。
 あわせて、そのために必要な財源確保、現在は国費で予算をとっております、当初予算、補正予算等々をタイミングで活用しておりますので、必要な財源確保に努めてまいりたいと思います。

○中川(康)分科員 大変にありがとうございました。
 耐用年数、私は十年から十五年と言って、今、御答弁は十五年から二十年と。あえて、私は少し少な目に、向こうは多目に言ったわけでございますが、やはり、局地災害が起きる中で各地域を超えた対策というのは大事でして、そういった意味においては、こういった配備がされることはすごく大事です。しかし、短期でやるのはなかなか大変なものですから、今からこの部分、現場の声も聞きながら、どう対応していくのか、そこの部分を御検討いただければと思います。
 きょうは、私、地方の問題を中心にさまざまな課題を御質問させていただき、前向きに、また力強い御答弁もいただいたというふうに思っております。
 以上で質問を終わります。大変にありがとうございました。